
刺しゅうPRO NEXT と brother PR1000e によるフォトステッチ。
50色を縫い終えて、この面、完了です。
なかなかいい感じにはできているのですが、
じつは、これ、ちょっと失敗してしまいました。
刺しゅうのへりを見てもらうとわかるのですが、
下方向に歪んでいます。
顔の下のあたりのフェルトにしわがたくさんできていますよね。
フォトステッチの縫い縮みは、
そのステッチの特性上、
多くは「全面的に」おきるものなのですが、
こんな感じで縮みに方向性が出ることがあります。
原因は、
・接着芯の選択・貼り方がいまいち。
・刺しゅう枠への張り方があまい。
・縫製途中、刺しゅう枠脱装着時にフェルトをずらしてしまってる。
・縫製時間が長すぎる。
等々、あれこれあるのですが、
もうひとつ、
・縫い縮みができやすい刺しゅうデータである。
という場合もあります。
今回のように人物の顔のアップでなおかつこういう色味だと、
・背景
・髪
・顔
・髪
というぐあいに刺しゅう面が帯状に配置されますよね。
縫製の順序が「背景→顔→髪」と完了していく。
面が均質に縫製されないので、
ステッチの多い写真刺しゅうの場合、
こういう歪みをともなう縫いズレがおきやすい。
この縫いズレを防ぐには、
上記の原因をすべてつぶす必要があります。
今回はちょっと油断、してしまいましたね。
ほんのすこしの歪みなら、
このまま縫い進めてもいいのですが、
今回、ゆがみは最大で 5mm 近くできています。
これではさすがにきれいな面合わせができません。
また、これだけ歪んでいると、
多色刷りの版画でいう「版ズレ」が起きているので、
この時点ですでにぼやっとした刺しゅうになっているはず。
というわけで、これはイチから縫製しなおしだ。
でもま、こういう失敗がお客さまのためになったりする。
うまくいかなかった刺しゅうを前に、
「ではこれにどう対応するか」という講習のほうが、
お客さまの目がきらきらします(笑)。
作りなおせばなおすほど、新しい気づきもあるし。
失敗は、ほんと「先生」です。