今日の修理:brother ADESSO l



今日の修理は、鹿児島県垂水市下宮町のお客さまのミシン。
brother ADESSO l です。

糸切り機構をごそっと交換。

このミシン、
自動糸切りがうまくできなくなったときは、
糸切り刄とせいぜいその周辺の部品を交換すれば OK 。
ユニットそのものをどうこうするということはめったにない。

……ものなのですが、
お客さまが特殊な硬い糸を使われることもあり、
ユニットそのものの動作がぎこちなくなっている。
普通の糸も切れなくなっていたため、
今回、まるごと入れ替えることで対応しました。

家庭用ミシンの糸切り機構は、
「ふつうの」糸を切ることを想定されています。
一般的でない太い糸や硬い糸で縫製をおこなう場合、
この便利な機能を「あえて使わない」でおくのがいい。

それでも、
「しょっちゅう部品の交換が必要になっても、
 便利だからわたしは自動糸切りを使い続けるわよ」
という今回のようなお客さまもおられる。

そのため、この自動糸切り機構ユニット。
そんな潔いお客さまにすぐ対応できるよう、
在庫を切らさないようにしている部品のひとつだったりします。




桜島が警報レベル4に引き上げ



2015年08月15日(土)午前10時15分、
大規模な噴火が起きる危険性が高まったとして、
警報レベルが4に引き上げられた桜島。

桜島では午前7時ごろから島内を震源とする地震が多発。
島内に設置している傾斜計や伸縮計で、
山体膨張を示す急激な地殻変動を観測。

一時期の連続爆発の日々を思えば、
ここ最近、ずいぶん静かな桜島。
今日も噴煙を上げずおだやかなたたずまい。

鹿児島県人にはそれがかえって不気味だったりします。




刺しゅうPRO フォトステッチ ここで中断



刺しゅうPRO NEXT と brother PR1000e によるフォトステッチ。

50色を縫い終えて、この面、完了です。

なかなかいい感じにはできているのですが、
じつは、これ、ちょっと失敗してしまいました。

刺しゅうのへりを見てもらうとわかるのですが、
下方向に歪んでいます。
顔の下のあたりのフェルトにしわがたくさんできていますよね。

フォトステッチの縫い縮みは、
そのステッチの特性上、
多くは「全面的に」おきるものなのですが、
こんな感じで縮みに方向性が出ることがあります。

原因は、

・接着芯の選択・貼り方がいまいち。
・刺しゅう枠への張り方があまい。
・縫製途中、刺しゅう枠脱装着時にフェルトをずらしてしまってる。
・縫製時間が長すぎる。

等々、あれこれあるのですが、
もうひとつ、

・縫い縮みができやすい刺しゅうデータである。

という場合もあります。
今回のように人物の顔のアップでなおかつこういう色味だと、

・背景
・髪
・顔
・髪

というぐあいに刺しゅう面が帯状に配置されますよね。
縫製の順序が「背景→顔→髪」と完了していく。
面が均質に縫製されないので、
ステッチの多い写真刺しゅうの場合、
こういう歪みをともなう縫いズレがおきやすい。

この縫いズレを防ぐには、
上記の原因をすべてつぶす必要があります。

今回はちょっと油断、してしまいましたね。

ほんのすこしの歪みなら、
このまま縫い進めてもいいのですが、
今回、ゆがみは最大で 5mm 近くできています。
これではさすがにきれいな面合わせができません。

また、これだけ歪んでいると、
多色刷りの版画でいう「版ズレ」が起きているので、
この時点ですでにぼやっとした刺しゅうになっているはず。

というわけで、これはイチから縫製しなおしだ。

でもま、こういう失敗がお客さまのためになったりする。
うまくいかなかった刺しゅうを前に、
「ではこれにどう対応するか」という講習のほうが、
お客さまの目がきらきらします(笑)。

作りなおせばなおすほど、新しい気づきもあるし。
失敗は、ほんと「先生」です。








刺しゅうPRO フォトステッチ たくさんの色を重ねて



刺しゅうPRO NEXT と brother PR1000e によるフォトステッチ。

縫製25色終えたところ。

肌のなめらかなグラデーションが立ち上がってきました。
刺しゅうPRO の表現力、すごいね。





これから髪を中心に糸色が入るわけですが、
すでにこの段階でたくさんの色が使われていることがわかります。

茶色はもとより、
朱色や黄色、青系の色まで複雑に折り重なっている。
髪の流れ、質感、重さや軽さは、
たくさんの糸色のハーモニーで表現されているのですね。

「近くで見るとあまりきれいじゃない」
「近くで見てもきれい」
写真刺しゅうのこの差は、
「どれだけたくさんの糸色を使っているか」
にあるんじゃないかと(それだけではないけれど)思っています。

完成したものでもわかりますが、
こんなふうに、
制作途中でしか見られない色の重なりの美しさというものもある。

刺しゅうしていて「にやり」とすることのひとつです。




刺しゅうPRO フォトステッチ はじめました



刺しゅうPRO NEXT と brother PR1000e によるフォトステッチ。

開始4時間でまだ17色しかステッチしていませんが、
顔の陰影のベースが出来てきました。

顔の造作と光の加減で生まれた影が、
右側に濃く出ているように見えます。
でも、これはステッチが進むと気にならなくなるはず。
これからもっと濃い色が入ってきます。

     *     *     *

本日はこの縫製を見てもらいながら、
お客さまとミシン刺しゅう談義。
ミシン専門店としてお伝えできる技術や情報はもちろんですが、
お客さまから返ってくる話のおもしろいことおもしろいこと。
ついつい時間を忘れて話し込んでしまいました。

「仕事」としての刺しゅう。
ひとことで云いますがいろんな形があります。

当店は、
「もともと刺しゅう専業」という業者の方より、

・これまで外注していたものを内製化したい。
・もうひとつの柱として刺しゅうで新規事業を展開したい。
・将来、独立開業を目指したい。

というお客さまが多い。

そのためみなさん勉強熱心なんですよね。
また、夢とともに秘めたアイデアをすでに持っている。

そういう方々のためにどんなサポートができるか。
たいへんですが、
いつもおもしろい仕事をさせていただいております。




刺しゅうPRO フォトステッチ ミシンの液晶、大事!



フォトステッチの場合、
刺しゅうミシンの液晶は高精細なほうがいいのです。

ミシンのディスプレイは、
一般的な縫製では「サイズや糸色数、縫製時間」といったデータ確認と、
「位置決め」で役に立つことが期待されますが、
写真刺しゅうではそれ以上に「色の再現性」が求められます。

このデータで縫い始めていいのだろうか。

その最終的な判断は、
コンピュータではなく、
ミシン側のカラーディスプレイを信頼しておこないます。

     *     *     *

実際に刺しゅうPRO の作業をするコンピュータのディスプレイ。
それはもちろん大事ですが、
これがねえ、わりとウソをつくことが多いのよ。

簡単に明るくしたり暗くしたりできちゃうでしょ?

キャリブレーション、なんてむずかしいことは云いませんが、
「ディスプレイ環境を正しく保つ」ことを考えている方って、
やはり少ないのですよね。
悩みすぎてノイローゼになっている方もいるのですが(笑)。

そのてん、
良くも悪くもミシンの液晶表示というのは設定が保たれている。
しょっちゅう明るさを変更したりしないでしょ?
そこがいいのです。

     *     *     *

厳密にいうと、
たとえば「グラデーションのなめらかさ」はミシンでチェックできません。
液晶でガタついて表示されている場合、
・データはいいのにガタガタに見えているのか。
・データがダメだからガタガタに見えているのか。
その判断がつかないからです。

細部ではなく、
「全体のバランス」をチェックするために使いましょう。

刺しゅう専用機 brother PR シリーズや、
Innovis VF1 や LA といった家庭用刺しゅうミシンの液晶は、
なかなかきれいに表示してくれます。

iPhone や iPad のような Retina な解像度なら、
「もっといいだろうな」とも想像しますけどね。
ディスプレイサイズが小さいぶん、
高精細すぎるとかえって騙されてしまうかも?

すくなくとも、
現時点では上記のミシンがフォトステッチに向いているといえる。
上は brother PR1000e のディスプレイ表示を撮影したものですが、
このくらい表現されていれば、
「いけるのかいけないのか」という目安がつけられます。

大型のフォトステッチの場合、この「目安」がとっても大事。
うまくできなかったからといって、
何枚も作り直すのはたいへんだからです。
ほんとはそれを経験したほうが早くうまくなれるんですけどね。

信頼できる液晶がついていること。

場合によっては、
「んなもんモノクロでいい。
 そのせいで値段が高くなってるんでしょ?」
なんて嫌われることだってある「画面の話」ですが(笑)、
フォトステッチャーのみなさんには、
ぜひ注目&活用してもらいたいな。








今日の修理:brother Compal DX



今日の修理は鹿児島県志布志市有明町のお客さまのミシン。
brother Compal DX(ブラザー コンパルデラックス)です。

10年以上使われてなかったというミシン。
なにぶん古いミシンなので、
点検依頼のお話をいただいたとき、
「状態、どうかな」と心配していたのですが、
見せていただくと、これが、じつにきれい。

もともとあまり使われてこなかったミシンなのかな。
外装はそれなりですが、
内部の磨耗がほとんど見られない。
ボタン類の電装もしっかりしています。

機械を扱うお仕事をされているせいかな。
「ミシンのことなんてなんにもわからんから、
 ほったらかしにしてただけ」
と謙遜されていましたが、
お客さまのほうで、
保存に注意していただいていたフシがある。

というわけで、
清掃して注油をしっかりおこなうことで、
軽快な縫いができるようになりましたよ。

おみやげにいただいた、
「糖度計が振り切れるほど甘い焼芋」
おいしかったなあ!
こちらもまた、ありがとうございます。




刺しゅうPRO フォトステッチ 株式会社 精研さんの新作です!




人物のフォトステッチ |(株)精研ブログ で、
新しいフォトステッチ作品が公開されていますよ。

この夏も、
いろんなミシンでいろんな方法で、
写真刺しゅう、広がりをみせています。



【リンク】
(株)精研ブログ








新型ミシンの技術講習会に参加してきました



今日は福岡県福岡市博多区にて、
brother の新しい家庭用ミシン、
COMPAL 700 / 900、
COMPAL 1500Q、
そして Innovis MX2500D の技術講習会に参加してきました。




こんな状態の新しいミシンを、
ばらばらに分解しながらその構造・特徴をおさえていきます。




スマートフォンで身近になった液晶タッチパネルの感度を試しながら。




ここ数年、brother の家庭用・刺しゅう用ミシンは、
大きく進化しています。

「性能が上がる」
「使いやすくなる」

それはつまり、
ミシンの内部構造が新しくなっているということ。

縫製の基本的な仕組みはすでに完成されているのですが、
技術はつねに前進しています。

これまでの整備テクニックを応用させつつ、
新しい機構には新しい整備方法で対応していかないといけません。

つねに勉強し続けなければ、
お客さまに自信を持っていいミシンをおすすめできないですもんね。
ミシン専門店はがんばってます。




前面のパネルを外したところ。

内部を知ることで新しいミシンの新しさを知る。




カタログには載っていないことばかりですが、
小さな改良点の積み重ねが、
大きな進化を支えています。




brother の新しいミシンは、
内部のユニット化が進められた印象ですね。




ボディパネルの接合面をチェック。

この「組み」を知っているのと知らないのとでは、
整備するときのストレスが大きくちがってくるのです。
わかってないと意外と手間取る。
これまでのモデルと変更点があるなら、なおさら。




背面パネルまで外したところ。

「ミシン=マシン」って感じですね。




ユニット化された下糸巻き機構。




タイミングベルトまわりにも力が入ってます。




上軸も下軸も。




底板をはずして寝かせたところ。

ちょっと惚れ惚れするようなフレームです。




ばらばら。
ユニット化で整備がしやすくなってるんじゃないかな。




針板の下に見慣れないブラシが。

これ、糸の流れをスムーズにするためのもの。




針棒機構まで残したフレーム。

ここまで分解したら、
こんどは組み上げていくことで内部構造をチェックしていきます。

分解そのものは講習の1/4ってところです。
ここから要所要所で調整を入れながら組んでいくので、
じつはこれからが、本番!

今回の講習であらためて、
brother COMPAL 700 / 900、
COMPAL 1500Q、
Innovis MX2500D のミシンとしての完成度を再確認。

お客さまに自信を持っておすすめしていきたいと思います。




密度の高い講習のあとに、
今回、きちんと講習に取り組んだかどうかをチェックする、
試験問題が準備されてました。

わお。