刺しゅうPRO:デザインセンターでラクしてデータを作るコツ




先日、お客さまから、
「ロゴを簡単に刺しゅうデータにする方法」
のお問い合わせがありました。

Eー刺繍工房さんのウェブログを読むと参考になりますよ!」
と云ってしまいたいところですが、
それではあまりに芸がない(笑)。
ぐっとこらえ、
いや、こらえてはないんですけれど、
当店がおこなっている方法をお伝えしました。

*     *     *

刺しゅうPRO NEXT なら、
オートパンチ、マニュアルパンチ、
さまざまな方法で刺しゅうデータを作ることができます。

ただ、
「刺しゅうデータを作らなくては」と考えると、
敷居が高く感じられることもある。
ふだんから刺しゅうデータを作ることに慣れていればいいけれど、
「たまーに作る必要がある」なんてとき、
なかなか億劫です。

たとえば、
コンピュータで画像を加工することに、
あるていど慣れている方のために、
おなじような手順で、
刺しゅうデータを考えられないか。

簡易な方法ですが、
大隅ブラザーがよくおこなっている方法をシェアします。

題材としてシンプルな図形を選んでみました。
某自動車のメーカーのロゴっぽいですが、
そのへんあまり気にしてはいけない(笑)。

直径5cmくらいの刺しゅうを作る。
そんなイメージでデータを作ってみましょう。

上記のロゴを、
Photoshop 等の画像編集ソフトで、
「黒と白だけ」の画像にします。

まずは、
「イメージ>画像解像度」で解像度を確認します。
ここの数値が小さすぎると輪郭が荒くなってしまう。
「350ピクセル」くらいに変更しておきましょう。

そののち、
「イメージ>色調補正>2階調化」を使います。
この操作のみで、
「黒と白だけの画像」に変換できることも多いのですが、
グラデーション部分が残った場合、
バケツツールやブラシツールで塗りつぶしておきます。





そうすると、こんな感じ。
Photoshop の出番はここで終わり。

この画像を保存して、
刺しゅうPRO のデザインセンターで開きます。





刺しゅうPRO で画像を開いたところ。
「原画ステージ」です。
ここで「輪郭線の選択」をおこないます。

黒1色の画像なので「色数>少ない」で。
プレビューされている黒い部分にカーソルを合わせると、
ポインタがスポイトの形になります。
クリックして黒色を拾って「OK」です。





「輪郭線画ステージ」にやってきました。

必要とならばここで修正を加える場合もあります。
が、Photoshop で解像度を上げておいたり、
しっかり2階調化してありますよね。
そうした下ごしらえがしっかりしていれば、
ここでする作業はほとんどないはず。

「輪郭線データステージへ」ボタンを押すと、
輪郭線変換の設定ウィンドウが出てきます。
ここで「解像度>細かい」に設定して「OK」。
先へ進みましょう。





「輪郭線データステージ」です。
ここで画像を調整します。

不要な「ポイント」を削除して、
スリムなデータを目指しましょう。
「ポイント」を移動して形を整える必要もあるでしょう。
また輪郭線や境界線を、
「線ツール」で加えることができます。

今回は、
周囲の円と三本の支柱の接点に、
境界線を加えました。
さらに支柱の中央にも直線を入れてみました。
支柱を縦に分割したわけです。
これはのちの作業で、
支柱の左右それぞれにちがう縫いを設定したいから。

外周にも立体感をつけてみようかな。
でも、小さな刺しゅうであまり凝りすぎると、
刺しゅうが汚くなってしまうことも。
なので、
次回、もっと大きな刺しゅうデータを作るときに、
試すことにしましょう。
小さな刺しゅうは、
「ちょっとシンプルすぎるかな」くらいが、
ちょうどよいのではないかな、と。

作業が終了したら、
「縫い方設定ステージへ」ボタンを押します。





「縫い方設定ステージ」です。

「縫い方設定」を表示させて「詳細モード」にしておきます。

メニューにある「縫いの設定」で、
「サテン縫い」を設定してみましょう。

周囲の円の縫い設定は「縫い角度>可変」に。
三本の支柱は「縫い角度>一定」にして、
さきほど中央に入れた直線に対して、
それぞれ左右45度の角度をつけます。
そうすることで立体感が縫い角度で表現できるわけ。





設定を終えて「リアルプレビュー」したところ。
サテン縫いだと縫い角度のちがいがきれいに出ますね。
タタミ縫いだとより平面的な仕上がりになります。
このへんはお好みで選びましょう。

「ステッチシミュレーター」などでチェックをして、
「これでよし!」となれば、
「レイアウトセンターへ」ボタンをクリック。
ごぞんじレイアウトセンターへ持っていったのちに、
ミシンにデータを送って刺しゅう、という運びになる。
おつかれさまでした。

ここの縫い設定で、
「下打ち」や「糸密度」を設定したほうがいい場合もあります。
大きな刺しゅうなら「下打ち」を設定して「糸密度」をあげると、
きれいに仕上がることがある。
今回は小さな刺しゅうなので、
「下打ち」なしで「糸密度」は標準設定のままにしてみました。

あと、輪郭の線(この刺しゅうデータだと黒糸設定)は、
実際には刺しゅうしないことも多い。
なので不要なのですが、
データとしてはそのまま残しておくことが個人的には多いかな。
縫う段階で「飛ばして」いるわけですね。
お客さまにお渡しする場合など、
輪郭線の刺しゅうデータを削除して、
「きれいなデータ」にしてお渡ししています。

マニュアルパンチとオートパンチの合わせ技のような、
この手法をおぼえておくと、
複雑な刺しゅうデータを、
比較的簡単に作ることができるようになります。

コツは「Photoshop の2階調化で下ごしらえ」。

お子さんお気に入りのあのキャラクターを、
さくっと刺しゅうデータにしてみたい。
なんてときに使ってみてはいかがでしょう?
複雑な刺しゅうであればあるほど、
「使える」テクだったりするんですよ。
これ。

【関連リンク】
刺しゅうPRO NEXT:レイアウトセンターで「くまモン」
刺しゅうPRO NEXT:デザインセンターで「くまモン」

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鹿屋市新川町のお客さま。
このたびは brother Teddy 30 をお買い求めいただき、
ありがとうございます。
「職場でみなが使いやすいミシンを」ということで、
選んでいただきました。
しかも2台も!
これからのサポートに期待してください。
こちらこそよろしくお願いいたします!

志布志市志布志町のお客さまからは、
「お礼状のお礼」をいただきました。
「こんなていねいなお礼状をいただいたのははじめてです」
といっていただきました。
へたっぴな字なので、おはずかしい。
恐縮です。
長く使えるミシンで長くおつきあい。
こちらこそ、これからもよろしくお願いいたします!