刺しゅうPRO:フォトステッチ 女の子



今回の刺しゅうは、
お客さまからのご依頼でステッチさせていただきました。

サイズ:185mm×135mm
190,231針(50色)
ミシン:brother PR1000e
アプリ:Photoshop CS5、刺しゅう PRO(刺しゅうプロ)NEXT
制作:Akihito Kouno




フォトステッチを頼まれる。
大切なお子さまの写真をおあずかりする。
写真でなく、刺しゅうであることの意味。
考えずにはいられません。

どんな雰囲気の刺しゅうにするか。
技術的に(ほんのすこし、ですが)余裕が出てきたからこそ、
それが悩ましい問題として立ちはだかるようになってきました。

しかし、なにごとにも期限がある。

短い時間のなか、どんな作品にするか、
Photoshop と 刺しゅうPRO を行き来しながら、
これまでになく深い逡巡が必要な刺しゅうとなりました。

ご家族に、ご本人に、気に入っていただけるとうれしいのですが。




10色、縫い終えたところ。

おおざっぱに「あたり」をとってる感じです。
背景の黄色いグラデーションがすでにきれいにできています。




35色を縫い終えたところ。

以前は、ここで悩むことが多かった。
人物だと「肌の色が濃すぎるのではないか」と感じるんですね。
ここで中断して刺しゅうデータを作りなおす。
そういう経験は、数かぎりなく。

でも、いまの大隅ブラザーは安心してそのまま進めます。

刺しゅうPRO のフォトステッチ機能。
そのアルゴリズムを信頼していますから。

それと、ささやかな自分の経験も。




50色、縫い上げました。
13時間、今回も brother PR1000e 、がんばってくれました。

50色でかなりしっかり作り込んでいます。
過不足ないデータ。
ムダな糸色がない状態。

「できるだけ少ない糸色できれいな刺しゅうを」
それを目指して試行錯誤している方もいます。
「利益」とか「生産性」とか「作業効率」を考えると、
たしかにそういう方向性を考えたくなる。

大隅ブラザーは「あまのじゃく」なので、
写真刺しゅうのときくらい、
そういう経済性とは真逆の地平を目指したいな。

時間がかかる、手間がかかる。
だから取り組む人もそんなに多くない。
でも「だからこそ意味がある」そんな気がするのです。




刺しゅうPRO のプレビューよりも、
きれいなグラデーションに仕上がったときはうれしいですよ。

刺しゅうPRO のフォトステッチ機能は使えない。
そう感じているユーザーは少なくない。
販売店の方のなかにもそう思っている方がいるし、
メーカーのなかにすら「信じてない」方がいる。

片田舎のミシン屋が片手間に取り組んでいても、
このくらいのフォトステッチができる。
なので、
まずそのことにおどろいてもらえたら、うれしい。

「じゃあ、私にもできるかも!」
そう考えてくれる方が増えてくれるといいなあ、と。




brother Innovis LA でサイズ比較。

ほんとのことをいうと、
このくらいのサイズはけっこうむずかしいのです。
大きいほうがずっとラク。

それゆえ、
この家庭用ミシンサイズでフォトステッチを研究するのは、
たいへん勉強になります。