今日の修理:brother F35-SL



今日の修理は、
鹿児島県鹿屋市田淵町のお客さまのミシン。
brother F35-SL です。

1年前は動いていたのに、
ひさしぶりに使おうと思ったら、
うんともすんともいわなくなってしまった、という状況。

機械はとにかく「放置」に弱いので、
こまめに使ってあげたほうがよいのです。
とくに廉価版のミシンは、
1銭2銭の単位でコストダウンをはかって作っているでしょ。
精度が低い、とまでは云いませんが、
価格の安い部品を組み合わせて作っているためか、
こんなふうに固着を起こしてしまうミシン、多いのです。

早めの対応で処置できることも多い。
実際、今回のお客さまのミシンは、
ムリすることなくすぐに当店に持って来ていただいたこともあり、
ふたたび使えるようになりました。
ですが、
動きが悪くなったミシンをだましだまし使ってしまうと、
部品の焼きつきをおこします。
場合によっては、
購入価格に匹敵する修理代がかかってしまうことも。

こうなると、
「格安ミシンを壊しては買い換え、使う」というサイクルが生まれます。
でも、そこまでしてミシンを使い続けていく人はあまりいないんじゃないかな。
「いまどきのミシンはすぐ壊れる」なんて感じたら、
ソーイングそのものを止めてしまうのではないでしょうか。

通信販売で低価格な商品が大々的に宣伝されていることもあり、
「ミシンというのはせいぜい2、3万円で買うもので、
 高価なミシンを使うのはよっぽど好きか仕事で使っている人」
そんなふうに思っている方も多い。

「そういうお客さまには、
 低価格ミシンのむずかしさをいくら云っても伝わらない。
 いちど買い物に失敗して勉強してもらわないとわからないんだよ」
とおっしゃるミシン専門店の方もいる。

そう云いたくなる気持ち、
大隅ブラザーも、ええ、痛いくらいわかります。
わかりますとも。
「前に買ったものが安物でダメだったので、
 今回はきちんとしたミシンを買いたいわ」
そう云って当店を訪ねていただくお客さまも、実際、多い。

でも「失敗して勉強しなきゃわからない」は、
業界の内々の話でも個人的に「禁句」にしたいと思っています。

だって、
たったいちどの失敗で、
「ミシンなんてこんなものか」と諦めてしまった、
そういう方だってたくさんおられると思うもの。

青臭い表現になってしまいますが、
その無念さを背負って引きずって、
(でも、そんなことは口にせず)
誠心誠意、お客さまに対応しているミシン専門店、あります。

当店もそういうミシン専門店でありたい、と考えています。
いや「なりたい」か。
修行はいつまでも道半ば。
先達に追いつくのはなかなか簡単ではないですけれども、ね。

きちんとしたメーカーのものなら、
低価格ミシンでもそこそこ使えるのは本当です。
でも、この「そこそこ」がお客さまによって異なっているのも、たしか。
「使いやすいミシンにふれてはじめて才能が目をさます」
なんてことはあっけないほど普通にあります。

ひとりでも多くの方に「ミシンとのいい出会い」をしてほしいなあ。