今日の修理:brother A33



今日の修理は、鹿児島県鹿屋市のお客さまのミシン。
brother A33 です。

「針棒ががたがたしてるんですけど」とお持ち込みいただきました。
たしかに、針棒、外れていますね。

マジックテープを縫いつけようとしたときに、
ミシンががつんと止まってしまったとのこと。
あのテープの土台、かなり硬いんです、たしかに。

「硬いものを縫っているときにミシンが止まる」
それは職業用や工業用ミシンでも起こりえます。
限界点はミシンによってもちろんちがうのですけれど。

で、どんなミシンでもそうですが、
とくに廉価ミシンでいちばんしちゃいけないのは、
ここで「プーリーをぐいぐい回して手動で縫い進めようとすること」です。

針を貫通させる能力の限界点にきたからこそ止まってしまったミシン。
その限界を超えて動かそうとするわけですから、
低価格ミシンはあっさりと針棒が外れて(壊れて)終わり、です。

修理そのものはそんなにむずかしくありません。
構造があきれるほど簡単なので修理も簡単。
でも、修理代はかかります。
また、修理したからといってミシンがパワフルになるわけでもない。
壊れたときと同じように扱えば、また、同じように壊れます。

なので、
このクラスのミシンを修理に出すときは、
このてんをしっかり見極める必要があります。

ネット上には、
「低廉なミシンでもきちんと縫える」という情報がたくさんあります。
半分はホントで半分はウソです。
正確には、
「低い性能の限界を超えない使い方を知っていて、
なおかつ洋裁の心得がしっかりある人は壊さずけっこう使える」
だと思います。

軽トラックで峠を攻めて、
「テクさえあればサンバーもけっこう走る」なんて悦に入ってる、
性格の悪い走り屋みたいなもんでしょうか(笑)。

家電量販店や手芸量販店では店頭での試し縫いができません。
いちばんいいのは、
ミシン専門店で試し縫いをしてみること。
低価格帯のミシンもぜひ試し縫いをさせてもらってください。
でも、帆布やデニムを何枚も重ねて試し縫いをしようとすると、
お店の人に止められると思います。
それで壊れちゃうかもしれないことを知ってますからね。
くれぐれも強行しないこと!(笑)

ちなみにメーカーやミシン専門店など業界の方々は、
このクラスのミシンのことを「おもちゃ」なんて裏で呼んでいたりする。
イヤな呼称だと思うので当店は使わないですけれど。