今日の修理:brother Innovis Si505



今日の修理は鹿児島県鹿屋市のお客さまのコンピュータミシン。
brother Innovis Si505 です。

「プーリーが動かなくなりました……」
と当店にお持ち込みいただきました。

見せていただくと、
たしかにがっちがちでミシンがうんともすんともいわない。
お客さま自身はわたしの年齢より長くミシンを使っていて、
「新しいバッグ、作ったよ!」なんてしょっちゅう新作を披露してくれる方。
こんなこと、めずらしいなあ。

訊くと、なるほど。
「どうしても、と懇願されて、
 友達にミシンを貸してしまったらこんなになって返ってきた」
のだそう。

カバーを外してみると、
天秤まわりにとてつもなく大量の糸がからんでいました。
「1m」はオーバーですが、ゆうに50cm 以上の糸がぐるぐる絡みついてます。
針も曲がり、内釜も傷だらけ。
糸切り機構のアームも歪んでます。
なかなかハデにやらかしちゃってる感じです。

修理代をお伝えすると、
「しかたないわ、貸したわたしが悪いんだから」
と、ひとつ、ためいき。

     *     *     *

「ミシンを持っていない」というのは、
「ミシンに慣れていない・操作を知らない」ということ。
そういう人に自分が大切に使っているミシンを差し出してしまうのは、
運転免許証を持っていない人に愛車を渡してしまうのと同じです。
自動車とはちがい法律には触れませんがミシンはたいてい傷ついて戻ってくる。

春は、ミシンの貸し借りトラブルで悩んで来店するお客さまが多い時期。

上記のように、
「返ってきたらミシンの調子が悪くなってしまったけど、
 知り合いだから問い詰めるわけにもいかなくて」
という方もいれば、
借りたミシンを壊してしまい、
「修理したことがわからないよう修理してもらえませんか」
と相談されることも。

ミシンは「慣れ」が必要な道具です。
操作がどれほど簡単になり便利な機能が満載でも、
最低限の縫製の知識がないと使えません。

友人・知人からお願いされると断りにくいのは、
ええ、ええ、とってもよくわかるのですが、
大切なミシンはできれば貸し出ししないでくださいね。
後悔すること、多いんです。